番外編 俺の彼女

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「怖い!怖い!!怖い!!!」 怯え震えてる加奈子をなだめながら、警察に電話をした。 部屋の玄関から動かずに、部屋の中と廊下を見渡しながら待っていると、二人のお巡りさんが来てくれた。 加奈子を抱き締めながら事情を説明する。 支離滅裂な説明だったろうが、巧く要点を聞き出してくれた。 廊下で待つよう言われ、お巡りさんが部屋の中を検分してくれる。 俺たちはただ待つだけの、まんじりともしない時間が流れた。 結局、犯人は加奈子の部屋のベランダのお向かいに住む男だった。 ベランダが向かい合っていて、彼女が洗濯物を干したりする時に一緒になり、たまに挨拶するだけの人物だった。 それがストーカー行為に発展していたようだ。 仕事も定年になり、加奈子を見守るのが生き甲斐になってしまってたようだ。 夜、加奈子の部屋に灯りがつかなかったので心配になり、ガラスを切って鍵を開け、侵入したと言うから驚きだ。 隣との間に梯子をかけ、渡って来たらしい。 「怖い! もう、やだ!!」 勿論、そんな部屋に住み続けさせる訳はなく、俺の部屋に引越しさせる事にした。 もう、このまま結婚に持ち込んでも良いかなと思う。 近い内に彼女の実家に挨拶に伺おう。 今晩、なし崩し的に抱くのはやっぱりダメだな。 初めては良い思い出にしてもらいたい。 はぁ。 今晩も我慢だな。 男はツライ、、、。
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