交通事故

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 義行は無類の車好きで、今だに昭和50年代のスポーツ車に乗っている。父親が運転する車の助手席に乗ってはシフトノブを握り、父親がクラッチペダルを踏むのと同時にシフトチェンジするのが楽しかった。義行が車の免許を取ったころはエコカーの時代になっていたが、子どものころ父親が運転していたような、ガソリン臭いマニュアル車に対する憧れを捨てられずにいた。妻子はそういう男のロマンとは関係なく、今時の静かな電気自動車に乗りたがっていたのだが、拝み倒して中古で購入した。若者にはポンコツに見えるかも知れないが、その時代を生きた大人にとっては、間違いなく懐かしさとかっこよさを感じるはずだ。
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