殺す覚悟

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殺す覚悟

―――――パリィン――――― ガラスが割れるような音が響き、モンスターが砕け散る それを確認したオレは、裏で動かしていたタイマーを止める 「22分ちょっと……新記録か、結構早くなってきたな」 今オレがしているのは、魔の森と呼ばれるダンジョンの、タイムアタックだ 魔の森というダンジョンは、推奨レベルが20からカンストの80までという 特殊なダンジョンで、浅い地域から奥へ進むほど、レベルが高くなっていく 通常より難易度が上がる、裏ダンジョンの攻略をしていたというわけだ ダンジョンは通常6人パーティを組んで攻略するのが当然で 1人で挑む事など、想定されていない敵の強さで無謀としか言えない もっとも、オレだって普段はパーティを組む事だってあるし ゲーム内ではかなり有名なチームを組んでる 冗談半分で魔の森の裏ダンジョンにソロで挑んだら、たまたま突破できたのだ それから暇つぶしがてらに、タイムアタックをするようになるまで 時間はそう掛からなかった 1人で攻略できたのは、このゲームの最たる特徴である魔術があるからだろう マジック&ソードというゲームは魔法の比率が高い、8:2ぐらいだろうか? もっとも魔術が強いと言っても、剣も使えなければソロでこんなとこにも来れない 敵の動きを止めるバインドも魔術、味方に支援するのも魔術、 攻撃だって、もちろんできるし魔術というのは、できる事が多いのだ 魔術と魔法と分けたが、その二つの区分はわかりやすい 初期から使える、テンプレートができているのが魔法 魔法文字を組み合わせて作ったのが魔術 詠唱、術符、魔術陣の3つの使い方ができるが、それぞれ特徴があり 中でも魔術陣の特徴がある(円を描くように魔法文字を書いた陣)これは 『重ねる』事ができるのだ、初級の魔法だって陣によって魔改造されたら 上級に届くような威力を出すことだってできる ボスは陣を8重に重ねてゴリ押しで倒すことができた もちろん作ろうと思うのなら、それなりに苦労する NPCから魔法文字を教わるとこから始まり、どこにあるかもわからない 古代魔法の文献を読み解いたり……とにかく大変なのだ wiki等で解説もされているが、その多くが挫折し魔術テンプレート なんてのが流行ったりもしたな、オレはそういった世界観に迫れるのが楽しくて 気がつけばフレーバーテキストを追いかけてしまったり…… そんな便利な魔術ではあるのだが、一つだけ難点がある
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