殺す覚悟

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先ほどの光景が、目に焼きついて離れない 森の匂い、獣臭い匂い、吐き気を催す匂い 赤色に染まった森、そこらじゅうに転がる、フォレストウルフだったモノ 眼前まで迫るフォレストウルフ、毛並みさえ把握できたほどの距離 開いた口から滴る涎まで思い出す 赤、ナニカの破片、緑、赤、ナニカの破片、ナニカの破片 ――――フォレストウルフだったモノ 耐え切れずに嘔吐する、そしてその惨状を生み出したのが自分だと、嫌でも理解する 「死にたくない……何が悲しくて犬っころに殺されなきゃならないんだ」 あれから、どれだけ時間が経ったかはわからないが、まだ日は高い 口の中に気持ち悪さは残っているが、少し冷静になれた 殺さなければ、どうなっていた? 答えが思い浮かぶ前に、頭を振り思考を追い出す オレはまだ生きている。それが大事で、このままじゃ死ぬ 立ち上がり前を向く、右手を握り込み力を込める 道は左右に続いているが、確認もせずに歩き始める どうせ、どっちから来たかも覚えていないんだ 「メインメニューは使えない、クイックメニューも無理……ん?」 開かないだろうと悲観していたのだが、声に反応して出てきた メニューが開かないと知って、試すつもりは無かったが、運がいい 簡略化されたメニューが自身の眼前に広がる、いつものメニューだった そこから調べた所ではステータスのみしか使えなかった 代わりにポーチの魔術(インベントリと同機能)は使えるようだった メニューから開く手間を惜しんだ、プレイヤーが開発した魔術だ どうしてこの方法なら、使えるかどうかは調べる方法も無いし、それよりも オレが集めていた物も無くならずに、そのまま存在していた方が大事だ コルセというこの世界での通貨も取り出せた いくつかの魔術も試してみたが、いつも通りに使えそうだという感じだ
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