水子が憑いてくる

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 僕の地元にM寺というお寺があるんです。由緒あるお寺で山の中にあって、庭が凄く綺麗で有名なんです。  このお寺、普通に参拝する分には何も問題は起こらないんですが、夜中にからかい半分で肝試しとかに行くと猛烈に祟ることで有名でした。  それでも僕が高校生だったときはみんな怖いもの見たさで行くんですね肝試しに。  これは僕が高校の同級生に聞いた話です。  A君は免許を取りたてで、よく皆の足代わりに使われていました。バイトで一生懸命貯めたお金で中古の乗用車を買って、あちこちに遊びに出ていたようなんです。  M寺に肝試しに行こうと友達が言い出した時。A君はあまり乗り気じゃなかったそうです。  というのも、M寺は山中の曲がりくねった峠道の先にあり、夜そこを通るのは初心者マーク付きのA君には荷が重かったからです。  でも結局友人に押し切られる形でA君はM寺まで運転させられることになりました。友人と四人くらいで肝試しに行ったんです。  すれ違うのも大変な峠の山道を真っ暗な中進み、最も時間が時間なので対向車はいなかったそうですが、なんとかM寺の駐車場までたどり着きました。  M寺は美しい山麓の清流に沿った土地に建てられていて、清流にかかる橋はあの世とこの世を分ける橋だとも言われていて、その橋のすぐ近くに水子を供養する地蔵があり、お菓子や玩具がお供えされていました。  降りて早速入り口にある水子地蔵を友人が写真に撮り始めました、断続的なフラッシュの明かりに浮かび上がる地蔵はものすごく不気味でした。  お寺の本堂までは駐車場からかなり急な石段を上った先にあり、夜中にそこを歩くのはかなり危険でしたが、友人たちがずかずかと先に進んでしまうので、A君もおとなしくついていったそうです。
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