水子が憑いてくる

4/4
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
 停車して車の外に出ると、バンパーが無残にへこんで、幸いけが人が出るような速度ではなかったのが幸いでしたが、A君はとてもショックだったと言っていました。  すると、そこへさっき激しくクラクションを鳴らしていた後続の車が来て、停車し人が降りてきました。 「ああ……やっちゃったね」降りてきたのは中年のおばさんでした。 「さっき見たのよ」  おばさんはそう言ってこんなことを言い出しました。A君の車の後部トランクの上に赤ん坊が座って笑いながらこちらに手を振っていたんだというんです。だから激しくクラクションを鳴らしたのよ。  と、その子水子だったんでしょうかね? 静かに眠っていたところを荒らされて怒ったのか、それともただA君に憑いてきただけなのか、それはわかりません。  その後車を発進させてみると、ブレーキは何事もなかったかのように直っていたそうです。  それからA君はどんなに誘われてもM寺に肝試しには行くまいと決めたそうです。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!