面接官の日常

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うちの会社はホテルを経営している。 業界内でも1位2位を争ういわゆる大企業だ。 もちろん、大企業らしく給料は良い。 他の場所で働く周りの同い年と比較すると、やはり抜群に良い。 …でも、それだけだ。 入社後、私は1年間のフロントスタッフを経て、総務部人事課新卒採用グループに配属された。 さて今日はだいたい50人ほどの話を聞かなければならない。 就活生からしたら緊張の2次選考、グループ面接である。 「はー疲れた…」 「お疲れ様です。どっちがいいですか?」 「お、気が利くねえ。ありがと」 2つ年下の後輩くんが差し出す右手の方を選んだ。 その印象的な癖っ毛は天然だそうで、私は彼をウェーブと呼んでいる。 「めっちゃ疲労溜まってますね。先輩は学生と話すの楽しくないんですか?」 「楽しくはないかな。私の判断でその子の人生狂わすかもしれないって責任はまだ君にはわからないだろうね~」
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