面接官の憂鬱

面接官の日常

「お前、あいつとかどうだ？」

一連のやりとりを見ていたのか、支配人がちょっかいを出してくる。

もうすっかり白くなった髪を上品に全て後ろに流し、高そうなダブルのスーツを着こなす姿は、まさに"渋い"という言葉がぴったりの風貌だ。

「何言ってるんですか。どうもなにも私はもう恋愛の仕方も忘れましたよ」

半分本当で半分は嘘。

「彼はただのとても可愛い後輩です」

まあ、これは本当かな。

ウェーブが聞いたらバカみたいに浮かれて面倒ですから内緒にしといて下さいね、と付け足す。