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その後、先に祖母が亡くなり、祖父も亡くなった。
本家の跡継ぎとなった私だったが、農業などできるわけもなく、他人に貸して現金収入を得て暮らした。
高校卒業後は、おしらせさんだけを持って都会に出た。
働きながら一人暮らしする中で、兄の親友の淳一と偶然再会して、付き合うことになった。
淳一が、初めて私の住むアパートへ遊びに来る直前、おしらせさんがカタカタ鳴った。
カタカタカタカタ……。
カタカタカタカタ……。
カタカタカタカタ……。
「こんなに激しく鳴るなんて……。でも、どうして……」
理由が分からないが、これから災難が起きることは確実。
淳一を待ってから、一緒に逃げることにした。
「やあ」
淳一がやってきた。
すると、おしらせさんがさらにカタカタと鳴りだして、止まらなくなった。
カタカタカタカタ……。
カタカタカタカタ……。
カタカタカタカタ……。
淳一は、揺れるおしらせさんを見て、気味悪そうに言った。
「この人形、どういう仕掛け? なんで、カタカタ鳴るの?」
「わかんない……。中を見たことないから」
「開けてみていい?」
おしらせさんに手を伸ばす淳一を必死に止めた。
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