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「絶対に触らないで! おしらせさんには神様が宿っているんだから、罰が当たるから!」
「神様? 罰? ププ! そんなオカルト、信じているんだ」
淳一は馬鹿にした。
「神様じゃないだろ。ただの不気味な人形。捨てたら?」
「だめよ。おしらせさんには不思議な力があるの。それで千歳家は助かってきたの。信じないと災難に遭うの。本当よ」
淳一が急に変なことを口にした。
「本当に、千歳家は……、腹の立つ……」
「え?」
淳一が、怒りの形相になった。
「なにが、おしらせさんだ! 自分たちだけ難を逃れて!」
「淳一さん、それ、どういう意味?」
「あの日もカタカタと鳴っていた。お前の兄貴は気にしていなかったが。どうせ、機械仕掛けなんだろ?」
「え?」
私は、兄が殺された日を思い出した。
カタカタ鳴っていたのに、家にいて侵入者に殺されてしまった兄。
田舎だったので元々カギを掛ける習慣はなかったのだが、隣家に強盗が入った後は、家にいるときでもできるだけ玄関や窓のカギを掛けるようにしていた。
あの日も、私はしっかりと家中のカギを確認してから外に出た。
それが、どこにもこじ開けた形跡はなかった。
だから、犯人の侵入経路が謎だった。
つまり、兄が犯人を招き入れたということ。
親友だった淳一なら、可能だ……。
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