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1102867a-d41d-4401-9378-026b20323d29 他の誰かと付き合いたいわけじゃない。 美味しいもの食べるのも、映画見るのも、 きれいな景色を見るのも、 一緒にって思うのは、柴田くん。 他の誰とでもなく。 あんなことで終わりにしたくない。 あのまま会えなくなるなんて、絶対いやだ。 気が付いた時、美和は中央救急病院にいた。 依子に柴田のいる病院を聞いた瞬間、体が動いた。 デスクにスマホと財布を取りに行き、オフィスを飛び出してタクシーに飛び乗った。 病院の受付で、柴田の名前を出していくべき場所を教えてもらおうとしていた時だった。 「美和さん……?」 今、一番聞きたかった声がした。 振り返って見ると、柴田がそこに立っていた。 さっと頭から足の先まで全身の様子を見る。 どこにも包帯を巻いたりケガをしているようには見えない。 いつもどおり、元気そうだ。 美和は全身の力が一気に抜けて、その場にへなへなと座り込んだ。 「美和さん!」 「生きてたー! よかったー」 大粒の涙が美和の頬をぼろぼろ転げ落ちた。 「え、なんで? どうしたの、美和さん」 柴田があわてて駆け寄り、泣きじゃくる美和の背中をさする。
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