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4b6c6bf2-eb32-4f2d-83d5-2239ae97966f 外に出ると、雨は上がっていた。 まもなく夜を迎える空には、水彩絵の具の筆で自由に描いたような雲が浮かび、夕陽の残り火で桃色に染まっていた。 二人でしばらく立ち止まり、黙ってそれを見上げていた。 美和は隣に立つ柴田の手を握った。 柴田もそっと握り返す。 こんなふうにきれいな空を見られる瞬間に一緒にいられるのは、今まで思っていたよりずっと奇跡なのだと思う。 「一緒に、いっぱい、いろんなものを見たり、いろんな場所に出かけたり、したいね」 美和は柴田の横顔を見上げて、言った。 柴田も美和を見下ろして、うなずく。 ぐー。 突然、柴田の腹の虫が盛大に鳴いた。 美和が吹き出す。 柴田は少し赤面しながら、つないだ手を振った。 「そうだ、今日昼も食べそびれたんだったー。 美和さん、腹減った。早く何か食べよ」 柴田に急かされ、二人で歩幅をそろえて歩き出す。 「柴田くんは何食べたいの?」 「このあたり、何があるんだろ? とりあえず早く駅の方に行こう」 「うん」 この空を、覚えておこう。 美和は、そっと心のシャッターを切った。 二人で一緒に見た景色を、うれしい瞬間を、何気ない会話を、できるだけたくさんストックし続けたい。 一緒に過ごすことのできる時間を、お互いに大切にしていきたい。 そう思った。
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