深見秀斗は間違えたく無い。(深見社長番外編)

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「ひまわり畑……?」 「そう! ずっと行ってみたかったんだ! ここのひまわり畑、すっごく綺麗って聞いていたから」 「俺には縁の無い場所だな」 「深見くんの家は薔薇だらけだったね」 「母の趣味でな」 響子に連れて来られたのはひまわり畑だった。 「目がチカチカするくらいたくさん咲いているな」 「私、一番好きな花はひまわりなの。見ていて元気になるし」 「まるで、響子みたいだな。やたら明るくて眩しい」 「私って眩しいの!?」 「けど、確かに元気を貰える気はする。そこも一緒だな」 「そっか、私……秀くんを元気にしているんだね」 「ああ」 「ひまわりの花言葉って色々あるんだよね。私が一番好きなのは……貴方を幸福にします……かな」 彼女は笑顔でひまわりを見つめながら話していた。 「……良い花だな」 「うん!」 俺は……人を幸せにする事が出来る人間になれるだろうか。 父親に逆らう事なんて有り得ない事だと、自分の意志に従って行動をする事なんて無いと思っていた。 彼女に惹かれて俺は人間らしさを知ってしまった。 深見家の御曹司としての俺ではない、森村響子に恋をしてしまった17歳の深見秀斗になった。 「そういえば、響子の誕生日はもうすぐだったな」 「へ? 覚えててくれたの?」 「前に話してたからな。たまたま覚えていたんだ」 「そっか。私も秀くんの誕生日覚えたよ! 5月でしょ?」 「ああ」 「過ぎちゃったね。今からでも……」 「別に何も要らない」 「えー?」 「たくさん貰ってるし」 「私、何かあげたっけ」 「やっぱり阿呆だな」 認めざるを得ない。父親の意志に反したくはなかった。 けど、俺はもう後には引けなくなっていた。自分が誰かにこんなに惹かれるなんて有り得ないと思っていたのに。
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