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「お前、名前は? 」
「さ、桜坂姫菜です….…」
「編入組か? 」
「は、はい! 」
「そうか、覚えてやる。俺様にびびらない唯一馬鹿な女だってな」
俺はにやりと笑いながら言った。面白そうな奴だ。からかい甲斐もあるみたいだし。
「あの……」
「お前になら任せられそうだ。お前を俺の相棒に任命してやる。拒否権はねぇからな? 」
「あ、相棒!? 」
こうして俺は桜坂姫菜を風紀委員会にスカウトしてしまっていた。人と関わるのを避けていたはずなのに。
こいつは人を惹きつける不思議な魅力があるのかもしれない。
「お久しぶりです、お祖父様。ステファン」
高校最初の夏休みがやって来ると、俺はお祖父様とステファンの墓へ。お祖父様の遺言でステファンの墓はお祖父様の隣に。
「お祖父様が前に僕に話していた事……少し分かるようになってきた気がします。僕は……父の言いなりのままの自分でいる事に今、疑問を感じています。きっと……」
彼女と出会ってしまったから。友人を作る必要なんてないと思っていたのに、今は違う。
「愛する存在が出来たら分かる……か」
お祖父様、僕はもう一度お祖父様に会って話をしたいです。お祖父様なら何て言うのか気になります。
両親はお祖父様の事を拒絶していたけど、俺はきっとお祖父様が大好きだった。
子供の頃はひねくれていたから分からなかった。お祖父様とステファンがいなくなってもう8年になる。
だけど、夏が来る度、お祖父様とステファンを思い出して未だに胸が痛む。
「また来年、来ますね」
俺は報告を終えると、家に向かった。
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