ご主人様にはナイショ。(赤ずきんちゃん編)

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ある夜、眠りにつくと私は赤ずきんになっていた。 「良い? 赤ずきんちゃん、おばあちゃんちにまっすぐ向かうのよ? 寄り道したりしない事! 狼が出るかもしれないからね」 「大丈夫だよ、お母さん! 私、ちゃんとおばあちゃんにケーキとワイン届けられるよ」 お母さんが赤ずきんのお母さん役なんだ!おばあちゃんも本当の私のおばあちゃんがやってるのかな? 家を出ると、私は早速寄り道をする。何故かというと、私は狼が大好きだからだ。 「夢の中ならもふれるもんね! 動物園だと出来ないもん」 ダメって言われるとやりたくなる私は本当にいけない子だ。 「やっぱりお伽話の世界ってお花畑が綺麗だなぁ!」 ピンクや白の色とりどりのお花が一面に咲いているお花畑を見て私はうっとりする。 「こんにちは、お嬢さん」 突然聞き覚えのある声が後ろから聞こえ、私はすぐさま振り向く。 「え、え、衛人様ーっ!? けも耳衛人様!?」 「衛人……? 俺は狼だが」 私の目の前には狼の耳と尻尾が生えた衛人様が。衛人様が凄まじく可愛い! 「もふらせてください!」 「そ、その手は何だ? もふ……?」 「やはり寄り道して良かったです! ふふ。寄り道するいけない私にお仕置きしに来たのですか?」 「やばい奴に話しかけた気がする……」 「大丈夫です! 私は美味しいですよ!」 「何で食われる前提!?」 「それで? 私に何かご用ですか?」 「あ、ああ。こんなに早くにどこに行くんだ? 赤ずきんちゃん」 「おばあちゃんの家です! お見舞いに」 「へぇ。おばあちゃんの家は何処にある?」 「ずーっと真っ直ぐ行った所にあります!」 「そうか。なぁ、周りを見てみろよ。綺麗な花や動物がたくさんいる。この森は楽しいぞ? ばあさんの家にそんな早く行かなくても良いんじゃないか?」 「花より衛人様なので! 私!」 「話が進まないんだが」 今は衛人様をもふりたい気持ちでいっぱい! だけど、このままじゃ話が確かに進まない! 「衛……狼さんの言う通りお花畑で遊んでから向かいます!」 「素直でよろしい。それじゃあ、俺は用があるから」 「じ、焦らしプレイ……」 一瞬で姿を消した衛人様。まさか私は最後のお楽しみ!? メインディッシュ!?
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