先生にはナイショ。(鈴宮凛番外編)

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あたし、鈴宮凛には好きな人がいる。だけど、この恋はきっと叶わない。 「すーずみーやさん! こちらの文和訳して頂けますか?」 「あっ、は、はい……」 突然、指されてあたしは声がうわずる。いつも他の授業では冷静でいられるのに。 彼、逢坂先生の授業の間だけドキドキしてしまう。 「えっと……」 やばい、この文あたしが予習で上手く和訳出来なかったところだ。姫菜に聞いておくの忘れてた! 「わ、分かりません……ごめんなさい」 「大丈夫ですよ。鈴宮さんならきっと分かります」 えーっ! 無茶振り!? 姫菜を見ると、にやにや笑っている。姫菜のドMツボに響いたみたい。 「せ、先生……あの……」 「ヒント……欲しいですか?」 「そりゃあ、まぁ」 「駄目です。もう少しだけ頑張って」 やっぱり姫菜の言う通り、Sだ! 「えっと、えっと……」 この単語なんて意味だっけ。思い出せない!! 「はい、時間切れ。深見くん」 「はい」 結局答えられなかった……。 「はぁ、あたし……だめだぁ」 「凛、大丈夫?」 「英語は勉強不足だ……」 英語の授業が終わり休み時間になると、あたしはいつものように姫菜と話す。 「次は予習、私が付き合うから! ね?」 「うん……」 逢坂先生もがっかりしたかな、あたしが答えられなくて。 「鈴宮さん」 「お、逢坂先生っ」 あたしが落ち込んでいると、逢坂先生の方からあたしに話しかけてきた。 「ごめんなさい。さっきは意地悪しちゃって」 「い、いえ。あたしが予習不足だっただけで……」 「けど、難しいとこを当ててしまっていましたから。分からない所があればいつでも聞きに来てくださいね」 「は、はい……」 「そんな暗い顔なさらないでください」 逢坂先生はあたしの?を撫でる。 「ひゃっ! お、逢坂先生?」 「もう意地悪しませんから、多分」 「た、多分なんですか?」 「はい。鈴宮さんが可愛いからまたしてしまうかもしれません」 「せ、生徒に可愛いはまずいですよ、先生!」 「すみません。僕、本音は包み隠さず言ってしまうんです、すぐ」 相変わらず、天然というか読めない先生だわ。 「か、可愛くないです。あたしは全然」 あたしはそっぽを向く。
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