先生にはナイショ。(鈴宮凛番外編)

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「失礼しました……」 「待ってください!」 逢坂先生が職員室を出ようとするあたしを呼び止める。 「皆さん、すみません。彼女に勉強教える約束先にしていたので。お話はまた今度」 「えー!」 逢坂先生!? 「予習で分からなかったとこ、あるんですよね?」 「は、はい」 「では、教室に一緒に行きましょうか」 「あ、ありがとうございます……」 女子生徒達に断りを入れてあたしを優先するなんて。ちょっと優越感。 「逢坂先生は人気ありますね?」 教室に向かう途中、あたしはつい拗ねた口調で先生に言ってしまった。 「僕くらいですからね、若い教師は。弄りたくなるんでしょう」 「けど、先生はSですよね? 弄らせないでしょう?」 「僕がS? そうでしょうか」 自覚無いの!? 「あたし、指される度にハラハラするんですよ?」 「すみません。鈴宮さんみたいにクールな女の子の動揺した顔見てみたくなり」 やっぱりSじゃない。 「こ、困ります….…」 「ふふ。鈴宮さんだけですよ、僕がSになるのは」 「えっ?」 「だから、ヤキモチ妬かないで」 「や、妬いてないし!」 やっぱり読めない先生だわ!! 「あれ? 教室人がいませんね……」 「珍しいですけど、鈴宮さんとの勉強会に集中出来ます。そうだ、ついでに他の教科でもお困りな所があれば、教えてください」 「えっ? けど、先生は英語……」 「理系も得意ですから、僕」 そういえば、T大卒だっけ。うちの学校で一番優秀な先生だったよね、確か。 「この英語、調べても出てこないんですけど」 「ああ、これは造語ですからね。ファンタジー作品あるあるです」 「や、ややこしいですね」 「この台詞は魔法の呪文なんでそのまま訳して良いです。辞書で出てこない単語は基本そう捉えて頂ければ。後は前後の部分で主人公の行動から読み取るとか」 「わ、分かりました」 やっぱり英語って難しい。 「難しい顔してますね? 大丈夫です。頻出単語と文法さえ覚えれば」 「は、はい」 「それに、鈴宮さんはいつも英語の成績平均点は取れてますから、そんな不安になる事無いですよ」 「あ、ありがとうございます」 「理数のが苦手なんですか?」 「はい。たまに平均点行かなくて」 「じゃあ、理数もついでに」 「良いんですか? お忙しいんじゃ」 「可愛い生徒の為ですから」 可愛い生徒という言葉にもやっとする。
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