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「凛は純粋だね」
「いやいやいや、あんたが異常なの!」
姫菜は普通の基準に入れたらいけないわ。
「そうかなぁ? 好きな人と手を繋ぎたいと同じ感覚だよ! 好きな人に意地悪されたいは」
「あんたの基準がおかしい」
「凛ー!」
いつも落ち着いているあたしが逢坂先生の前だとつい取り乱してしまう。
だめだ、しっかりしなきゃ。あと、さっきの夢は忘れなきゃ。今日も先生の授業あるし!
「おはようございます、鈴宮さん」
「わっ!」
いきなり逢坂先生に声をかけられ、あたしは動揺する。
「凛、どしたの?」
あんな夢を見たなんて勿論あたしから聞いていない姫菜は首を傾げる。
「すみません、驚かせてしまいましたか?」
「ひ、姫菜! あたし、図書館行くっ! 先生、さようなら!」
「凛ー!?」
あたしは逃げるように図書館へ走って向かった。やっぱり直視できない! 早く消えて、あの夢!
「ふぅ。図書館来たのなんて久しぶりだわ」
あたしは図書館に着くと、やっと冷静になる。
「結構種類あるのね」
恋愛の指南書まである!年上男性の落とし方、ね。先生と生徒の場合なんて書いてるはずも無いけど。
「やっぱり無謀よね」
昔っから同級生を好きになった事はない。いつも年上が好きで。
最初は幼稚園の時の先生、小学校から中学校までは近所に越して来たお兄さん。
皆、結婚したり彼女がいたりしたけど。
今の逢坂先生はフリーって噂だけど、先生な時点で難易度が高すぎる。あたしは姫菜みたいに顔も性格も可愛らしくないし。
「あんな夢見たくなんかなかった」
虚しさはまだある。幸せと感じるのは夢の中だけだった。
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