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「鈴宮さんっ」
「お、お、逢坂先生!?」
追っかけてきた!?
逢坂先生は息を切らしながらあたしの元へ。
「様子がおかしかったので気になりまして。いつもクールな鈴宮さんが……。もしかして僕、何か……」
「せ、先生は悪くないですから。ただ、図書館に行きたかっただけ」
お願いだから、近付かないで! どんな顔したら良いか分からない。
「そうでしたか。実は鈴宮さんに渡したい物があって」
「あたしに?」
「これ、僕が高校時代によく使っていた参考書です。色々書き込んであるので少し汚いかもしれませんが」
「数学の参考書ですか?」
「はい、以前苦手だとお聞きしたので。この参考書一番解説が分かりやすいものでしたので、差し上げます」
「ありがとうございます。けど、英語じゃないんですね。先生、英語教員なのに」
「英語も分かりやすい参考書はありますけど……それは出来ません」
何でだろう?
「どうしてですか?」
「だって、そうしたら鈴宮さんいつもみたいに質問に来なくなるでしょ? 寂しいじゃないですか」
「そ、そういう事言うから女子生徒達に勘違いされるんですよ! 天然たらし!」
「あはは。けど、本音ですから」
やっぱりこの先生手強い! 今、あたしはほっといて欲しいのに!
「あ、ありがとうございます。大事に使わせて頂きます」
「分からなかった所があれば数学も聞いてください」
あっ、何かデジャヴ。さっきの夢思い出しちゃうじゃない!
「数学は数学の先生に聞きます!」
「えーっ? それは妬けちゃいますね」
「だから! そういう発言やめてください!」
あたしの周りの男子おかしいのばっかり!葵もやばいし。
「そうだ、鈴宮さん」
「はい、何でしょうか?」
「僕から参考書を貰った事は皆には内緒ですよ?」
逢坂先生は人差し指を口元に当てながら言った。
「は、はい……」
何それ可愛い……。
「凛ー、あら珍しい。凛がずっと机に向かっているなんて」
「ちょっとお母さん! 勝手に入って来ないで!」
夜になると、あたしは部屋で逢坂先生に貰った参考書を読みながら勉強をした。
やっぱり無謀だと分かっても、近づきたいな。彼女になりたい。
「告白……先生がいなくなる前にしなきゃ」
不安はたくさんある。だけど、やっぱりあたしも姫菜みたいに大好きな人の彼女になりたい。あの夢を現実に….…!
頑張らなきゃ、もっと意識してもらえるよう!
(おわり)
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