衛人様のドキドキホワイトデー!

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「まぁちゃん、ホワイトデー貰えたー?」 「うん! キャンディ貰った! 去年のホワイトデーは酷い喧嘩したからね」 「あぁ、彼氏からマシュマロ貰ったんだっけ」 一人、本屋に立ち寄り本を選んでいる時だった。近くにいた女子高生二人組の会話が気になり、俺は耳を傾けた。 「マシュマロって貴方が嫌いですって意味だもんね」 「そうそう! 彼氏知らなくてさ! うちが好きだからって理由で買ったみたいなんだけど、大喧嘩に……」 マジ……? 桜坂があんな顔したのってもしかして? 久しぶりに血の気が引くのを感じた。試しにスマホで調べてみると、確かに女子高生達の会話の通りマシュマロをあげる男は最悪呼ばわりされていた。 「意味とか知らねぇし….…」 ホワイトデーに縁がなさ過ぎて久しぶりにやらかしてしまった。桜坂の事に関しては不器用だ、俺。 ちゃんとホワイトデーについて調べ直さないと。ちゃんと桜坂に話さないと。 久しぶりだった、俺と向き合ってくれる奴は。桜坂だけだから、俺が信頼出来るのは。 それに、きっと俺は……。 「姫菜ぁ、ひどい目! どうした?」 「凛……ちょっと辛い事があって泣き腫らしちゃった」 「話聞くわよ? また衛人様?」 「後で話すね……」 翌日、学校に行くと暗い表情の桜坂がすでに教室にいた。いつもなら登校してきた俺にすぐ気付いて犬みたいに駆け寄ってきやがるのに。 俺、本当馬鹿な事をしてしまったんだな。 「桜坂」 「わっ! 衛人様、おはようございます!」 桜坂は無理に笑顔を作って声をかけた俺に応える。 「ひでぇ顔してやがるな」 「す、すみません……」 いかん、いつもの癖で罵倒してしまった。
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