あおくんの憂鬱。

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「学校でゲームしたら先生に怒られちゃうから学校が終わってからあげるね」 「うん! 私も何かお礼するね。何が良いかなぁ。伝説のパケモンあげよっか?」 「大丈夫だよ。お礼はいらない。俺は姫菜の役に立てるのが嬉しいから」 「あおくん、ありがとう! あおくん大好き!」 「俺も姫菜が大好きだよ」 小さな頃からずっとずっと姫菜だけを見てきた。だから、俺が姫菜を守るんだ。 「あ、あおくん! 公園のひまわりたくさん咲いてるよ!」 「姫菜、走ると危ないよ。また転……」 ようやく花が開いたひまわりを見つけた姫菜は突然走り出す。もちろん転んだ。 「痛い……」 「だ、大丈夫!? だめだよ、姫菜。急に走ったら」 「ひまわり見たら嬉しくなっちゃって」 「はい、絆創膏」 「わぁ! ありがとう。あおくん、いつも絆創膏持ってるの?」 「姫菜がよく転ぶからね」 「ごめんなさぁい」 「ねぇ、姫菜。転ばないように手を繋いで歩こうか?」 「けど、前にあおくんと手を繋いで歩いてたらクラスの男子がからかってきたよ?」 なんて幼稚でバカな男共だと思った。 「姫菜が転ばない為に手を繋ごうって俺は言ってるんだよ? それにからかわれるのなんて気にしなくて良いよ。だって俺と姫菜は本当に仲良しなんだからね。僻みってやつだよ。俺と姫菜が仲良しだから」 「僻み? あおくん、分かんないよ……」 「姫菜は分からなくて良いよ」 小さな頃からよく本を読んでいた俺は普通の小学生よりませていたように思う。 「もう痛いのやだからあおくんと手繋ぐ」 「うん。良い子だね、姫菜は。絶対離しちゃだめだよ?」 「あおくんは心配性だね!」 「姫菜が痛い思いをするのは嫌だからね」 俺だけだから、姫菜を守れるのは。
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