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「あおくんは王子様みたいだよね、やっぱり」
「俺が王子様なら姫菜はお姫様だね」
「私がお姫様?」
「そう。だって王子様とお姫様は結ばれる運命だって言うし」
「結ばれるってなぁに?」
「ずーっとずーっと一緒にいられる事」
「そっか! ずっとずっとあおくんと一緒にいたいな。あと、凛……」
「姫菜も俺と結婚したいんだ! そうか、嬉しいなぁ」
「へ? あおくん……?」
「18歳になるまであと9年もある……長いなぁ。早く姫菜とずーっと一緒にいられる保証が欲しいのになぁ」
そう、確かにあの日、姫菜は俺とずーっと一緒にいたい、つまり結ばれたいと言ったんだ。
今、俺でなくあいつの側にいるのはおかしい。やはり洗脳されているに違いない。
「あおくん、何のお話?」
「俺さ、お父さんとお母さんみたくなりたいんだ。ずっとずっとラブラブで。だから、俺と姫菜もいつか……あんな風に」
小さな頃は両親に憧れを抱いていた。とても愛し合って見えていたから。裏切られるとは思わなかったんだ。
「あおくん、パケモンありがとう!」
「いえいえ! また可愛いの見つけたら姫菜に送るね。あ、そろそろ帰らないと」
その日の放課後は姫菜の家でずっとゲームをしていた。
「えっ! もっと遊びたいよぉ。あおくんち泊まりに行く」
「ごめんね。今日は大事な話があるってお父さんに言われていて。姫菜を呼んだら怒られちゃうかもしれない」
「分かった! じゃあ、また明日たくさん遊ぼう? 今日はパケモンバトルしたから明日はお人形さん!」
「うん! 姫菜の旦那役頑張るよ」
「えっ? また? 違う役やりたくならない?」
「うん、姫菜の旦那さんになる練習」
「へ?」
「じゃあ、またね! 姫菜」
「うん、バイバーイ!」
俺は姫菜の家を出るとすぐさま走って帰った。
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