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「私は友達がいないと生きていけない! 空気より大事」
「空気が無きゃ死ぬぞ?」
やはり阿呆だ。
「けど、空気より大事な友達の中には深見くんも入っているんだよ?」
「馬鹿馬鹿しい。俺は友人なんて要らない。父に言われているんだ。人を信用するなと。俺に関わる人間は皆敵だ」
「そんなのおかしいよ!」
「お前みたいに一般家庭の娘には理解し難い話だろうな」
俺は日本でトップと言われる企業・深見グループをいつかは継がねばならない。
普通の生き方など決してしてはならない。一人でのし上がる、誰も信用せず。
それが正しい生き方だから。
「私には難しくてよく分からないや。けど、私は深見くんと分かり合いたい! やっぱり放っておけないから」
「そういうのありがた迷惑って言うんだよ」
「じゃあ、ちょっとはありがたいって思ってるって事だよね!?」
「は?」
「脈ありだね!」
「はぁ、頭痛くなって来る」
「だ、大丈夫? 医務室行く?」
「お前のせいだ」
「へ?」
森村響子は頭がおかしい。
やたらと俺につきまとって。
「俺に一切関わるな」
「嫌です!」
彼女は笑顔で言う。
迷惑だ、誰とも関わりたくないんだ。
なのに、何なんだよ。
「響子はー?」
「そういえば居ないね。一緒に帰る約束したのに」
放課後になると、俺はまた風紀委員の仕事の支度を始める。
森村は居ないのか。
あいつがいると鬱陶しいし、あいつが教室に戻って来る前に風紀委員の仕事へ向かおう。
出来れば関わりたくない。
「ちょっと! 離してよ!」
「いい加減、俺と付き合う事を考えてくれよ」
「絶対嫌!」
だけど、森村が3年の男子に腕を掴まれ、抵抗をしている場面に出くわしてしまった。
また余計な仕事が増えた。
「おい、何をしている?」
「げっ……深見秀斗!」
「嫌がる女子の腕を掴むなど言語道断。男として情けないと思わないのか?」
「お前には関係無いだろ!!」
「関係あるさ。風紀委員としてお前を罰せねばならない。もちろん退学だ」
「はぁ? こんな事ぐらいで……」
「お前みたいなゴミは学園に不要だと言っているんだ。はっきり言わないと分からないとは頭が悪いようだな。俺の言葉を理解できないのなら警察に話をして貰おうか?」
「ちっ!」
男は走り去って行った。
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