深見秀斗は間違えたく無い。(深見社長番外編)

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「あー、透けたらやだなぁ。今日シャツ一枚だよ、私……」 「家は近いのか?」 「う、うん。こっから10分くらい! 南公園の側」 「車、乗ってけよ。通り道のついでだ」 「よ、良いの!?」 「ついでだ。透けた制服で歩かれて襲われでもしたら俺の仕事が増えるからな」 「ありがとう、深見くん! 大好き!」 「は、はぁ?」 キラキラした笑顔で言う彼女に俺は呆れる。 「坊っちゃま、今日はご友人とご一緒ですか?」 「ああ、南公園の前で降りて貰う」 「承知致しました」 俺は森村と車に乗り込む。 「これがよくドラマで見るロールスロイス!? 広ーっ!」 「大人しく出来ないのか? お前は」 「だって私の家もそれなりに裕福だけど、ロールスロイスは持ってないもの」 「いちいち頭の悪い会話を繰り広げるな、お前は」 「深見くんは本当ーに辛辣だなぁ。けど、嬉しいな。初めて一緒に帰れた」 「ただの成り行きだ」 「ぶーっ! せっかく仲良くなれたと思ったのに」 「お前の勘違いだ」 友人なんて要らない。 父さんからそう言い聞かされているだろ? 俺。 「私、深見くんの笑った顔が見てみたい」 「何を言っているんだ」 「私の人生最大の目標だよ」 「笑うわけがないだろう。人に笑った顔を見せるなど隙を見せているようなものだ」 「笑わないと幸せにはなれないよ!」 「それはお前の考えだろ」 「深見くんは不器用なだけ! 私は諦めないよ」 彼女はいつも強引だった。 「俺に関わるのはやめてくれ。困るんだ」 誰にも頼らず、一人で強く生きて行く、それが俺の描く人生。
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