深見秀斗は間違えたく無い。(深見社長番外編)

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「深見くんの子供はきっと美形だね」 「俺みたいに目つき悪いのがころころ生まれてたまるか」 「けど、きっと可愛いよ!」 「俺を可愛いと言う馬鹿はお前くらいだな」 「だって事実だもの。深見くんから見た私はどんな印象?」 「バカ、しつこい、面倒くさい」 「3大悪口!?」 「けど、まあ……嫌いではない。女は苦手だが」 「本当? 嬉しい!」 「何故俺と出かけたがるのかは謎すぎるが」 「深見くんは鈍いです」 「学年トップの俺に鈍いとは?」 「頭の話じゃなくて!」 何故顔を赤らめているのだろうか。この喫茶店、涼しいはずだが。 「……次は俺の観たい映画に付き合え」 「えっ?」 「償い、足りないんだろ?」 「うんっ!」 次は無いと言い聞かせていたのに。 「秀くん、お待たせ!」 「その呼び方はやめろ。馬鹿っぽくて恥ずかしい」 「もう、すぐ照れるんだから」 「距離の取り方がおかしいんだよ、お前は」 「えへへっ! 今日は私の行きたい場所に行く番だよね」 「ああ、遠くだったら車を手配して……」 「電車で行こ?」 「電車は苦手なんだよ。こないだも話したが」 「電車でのんびり行くのが楽しいんだよ? もしかして前に改札で引っかかってたのまだ気にしてる?」 「き、気にしてなどいない!」 「秀くんは恥ずかしい姿晒すの本当嫌がるよね」 「うるさい、行くぞ。響子」 「あれ? 今、名前……」 今回でやめにする、やめにすると言い聞かせていたはずなのに俺は気付いたら彼女と5回も出かけていた。誘うのはいつもどちらか。 いけないと分かっていた。父が許さない事をしている自覚はあったんだ。
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