深見秀斗は間違えたく無い。(深見社長番外編)

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彼女の誕生日がやって来ると、俺は緊張しながら彼女の待つ駅へ向かう。 「あっ、秀くん! おはよう!!」 「あ、ああ」 「ん? いつも以上にこわーい顔してるけど大丈夫?」 「こ、これ……」 俺は後ろ手に隠していたひまわりの花束を彼女に渡す。 「わっ! 可愛い花束! ひまわりだー!」 「お、俺と……付き合って欲しい」 「えっ?」 「俺はこんなだし、一緒にいて大変かもしれない。けど、貴方を絶対幸福にします……」 「秀くん……」 彼女は涙を流す。 「な、何故泣く?」 「だって、私ばっかり好きだと思っていたから! 嬉しいーっ!」 絶対絶対幸せにする。 例え、父に反対されても俺は諦めない。 「秀くん!」 「俺達の子供……?」 「そう、私達の子供だよ! 抱いてみる?」 「あ、ああ」 「衛人、お父さんだよー」 俺が父親になったのは26才の時だった。 恐る恐る我が子を抱く。 「俺に似て目付きが悪いな、お前」 「もう! けど、可愛いでしょ?」 「まあ……な」 この子は男の子。きっと俺と同じ地獄を味わう事になる。 深見の跡取りとなるからには。 だから、抱くのは今日が最後だ。 「貴方……?」 「この子は深見家にとって大事な息子だ。厳しく躾けないといけないな」 「えっ……」 父が俺に厳しくしてきたように、俺もこの子には厳しくしなければならない。 強くなって貰うためには普通の父親にはなれない。
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