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「ミラがお姫様だったらネパールに行けるわけないでしょう?」
たしかのソロモンの言うとおりなのだが、ロシアのお金持ちはこんな家に住むのか?
俺は、まるで自分がタイムスリップしてしまったのか? と思うくらい戸惑っていた。
そして、屋敷の中に入り、また驚愕する。
そこには正装をした男性や、メイド服に身を包んだ女性たちが出迎えてくれた。
その中から白髪で背が高く、恰幅のいい男性が俺の目の前に近づいて来る。
「はじめまして、君がノリだね」
ミラの父親――。
はっきりとした日本語で、とても明るい挨拶だった。
その人の名はドミトリー・アレクサンドルヴィチ・リマノフ。
これは覚えられた。
という事は、二人のフルネームも――。
ミラ・アレクサンドルヴィチ・リマノフ。
ソロモン・アレクサンドルヴィチ・リマノフ。
――になるのだろうか。
まぁ、別にいいだろう。
とりあえずリマノフ家って事で。
「ミラ、彼とはもう食事を済ませたのかい?」
「いえ、まだよ」
「それはよかった。是非うちで食べていってください」
ドミトリーさんはそういうと、俺の肩に手を回して、かなり近い距離で話しかけてきた。
この人、パーソナルスペースがせまいのかな? 顔がすごく近い。
――と内心、思っってしまった。
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