Episode No.3

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「ミラがお姫様だったらネパールに行けるわけないでしょう?」 たしかのソロモンの言うとおりなのだが、ロシアのお金持ちはこんな家に住むのか? 俺は、まるで自分がタイムスリップしてしまったのか? と思うくらい戸惑っていた。 そして、屋敷の中に入り、また驚愕する。 そこには正装をした男性や、メイド服に身を包んだ女性たちが出迎えてくれた。 その中から白髪で背が高く、恰幅(かっぷく)のいい男性が俺の目の前に近づいて来る。 「はじめまして、君がノリだね」 ミラの父親――。 はっきりとした日本語で、とても明るい挨拶だった。 その人の名はドミトリー・アレクサンドルヴィチ・リマノフ。 これは覚えられた。 という事は、二人のフルネームも――。 ミラ・アレクサンドルヴィチ・リマノフ。 ソロモン・アレクサンドルヴィチ・リマノフ。 ――になるのだろうか。 まぁ、別にいいだろう。 とりあえずリマノフ家って事で。 「ミラ、彼とはもう食事を済ませたのかい?」 「いえ、まだよ」 「それはよかった。是非うちで食べていってください」 ドミトリーさんはそういうと、俺の肩に手を回して、かなり近い距離で話しかけてきた。 この人、パーソナルスペースがせまいのかな? 顔がすごく近い。 ――と内心、思っってしまった。
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