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「あの……どちら……」
『副社長！この件ですが！』
被せるように、電話の主とは違う女の人の声に、私はびっくりして受話器を落としそうになった。
副社長？なんで？どうして？なんで私？
嘘でしょう？まさか……そんな……。
「失礼いたしました！」
慌てて言葉を発した私に、
『１８時に地下２階の駐車場入り口』
「え？あの！」
そう言いかけた時には、無残にも電話からは無機質な音しか聞こえなかった。
「笠井さん、どうしたの？」
受話器をどれぐらいながめていたのか、横からの声に私は我に返った。
「あっ、町屋先輩……。すみません。なんでもないです」
慌てて受話器を戻すと、途中やりのパソコンに目を向ける。しかし仕事なんてできる訳もなく。
ここが会社でなければ、大声で叫んでいたな……。私はその感情を、なんとかため息に抑え込んだ。
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