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「ほら、お姫ちゃんも固まってる」
「今日は早く上がらないといけなかったから、仕事をしてただけだろ?」
『早く帰らないと』その言葉が、私との約束だったことに若干の居心地の悪さを感じて、私は俯いた。
髪をかきあげながら、ドサッと体をソファに預けた翔太郎に、晃さんは諦めたように小さくため息をついた。
「だからって、スーツはクローゼットにかけろよ。仕事もせめて書斎でやれ」
「散らかすのは一部屋にしろよ……リビングが一番広いんだし、まったく……」そんな言葉をぼやきながらも、世話を焼く晃さんと言い訳を繰り返す翔太郎とのやり取りを、私はお芝居を見るような気持ちで見ていた。
ちょっと!待った。和んでる場合じゃないじゃない。
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