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「待て!」
そう言われて待つわけもなく、私は玄関に手をかけたところで、またもや後ろから拘束された。
この人は距離感がおかしい!
「離してください……」
「頼む……待って」
私の言葉に被せるように、懇願するような、今までとは違った声に私は戸惑いを覚えた。
「帰ります……」
なぜか今までの勢いを保つことができず、私は翔太郎の腕の中で体を固まらせた。
「帰ってどうする?」
「それは……」
言葉に詰まった私の手を、翔太郎はそっと取ると、親が子供の手を引くように、もといたリビングへと歩き出した。
「待て……」
不服を述べようとした私に、翔太郎は静かに言葉を発した。
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