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「俺は下にいるから、荷物片づけたら降りてきて。今後の話をしようか」
「わかりました」
私は簡単にスーツケースの中身を、クローゼットにしまうと、少しベッドに座ると窓から見える景色を見た。
ついこないだまでは全く想像していなかった展開に、まだ頭がついていかないが、とりあえず新しい生活をがんばろう。そう思った。
下に降りていくと、翔太郎はまたソファに座って書類とパソコンに囲まれていた。
「そんなに忙しいのに、結婚なんて大変ですね」
他人事のような私のセリフに、クスリと肩を揺らして、翔太郎は掛けていたメガネを外した。
あっ……メガネかけるんだ。
「社員の生活があるから、中途半端な事はできないよ」
たまに言う真面目な言葉に、私はどうこたえて言いかわからず、話を逸らした。
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