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「優里香」
「はい?」
着替え終わって、スーツの上着を椅子に掛けると、翔太郎さんは腰を下ろした。
「本当に、お前の体調が辛い時とかは無理するなよ」
「わかってます。そういう時はきちんと言うって約束しましたよ。今日も元気です。それに私は今日土曜日でお休みですよ」
軽く睨んだ私に、翔太郎さんは小さく息を吐くと、フワリと笑った。
最近見る、このイジワルでもない、仕事の時でもないこの笑顔を見ると嬉しくなる。
「早く食べましょう」
私はコーヒーを入れて、翔太郎さんの前に座ると声をかけた。
「ああ、いただきます」
きちんと挨拶をする、当たり前のことだけど、きちんとした家で育ったんだろうと思う。
そこに、来客を知らす音がして、私は席を立った。
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