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その様子を唖然として見ていた私に、食べ終わった翔太郎さんが私の横に立った。
「翔太郎さん?何か私しましたか?」
チラリと翔太郎さんを見上げると、私の手を取り私を立ち上がらせた。
それでもまだ目線の高い翔太郎さんを、私は見ようとしたところで、ポスッと翔太郎さんの胸に抱き寄せられた。
「悪い。友梨佳に不機嫌なんじゃない。晃が優里香の作った朝食を食べるのが何か嫌だった」
え……?
嘘でしょ?
「あー、こんなの俺らしくない……」
呟くように言った翔太郎さんが、なぜか可愛くて仕方ない。
「翔太郎さんの為に、晃さんにも食べてもらったんですよ?晃さんが倒れたら、翔太郎さんが困るでしょ?」
腕の中からニコッと笑って、翔太郎さんを見上げた。
「あー、もう。お前って」
ギュッと抱きしめられて、私も翔太郎さんの背中に手を回した。
政略結婚だけど……少しは私を大切に思ってくれてるって、自惚れてもいいですか?
だんだんと自分の中で大きくなる、翔太郎さんの存在に、私は心の中で問いかけた。
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