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「あっ、神崎さんが来てる!」
隣の部署の女の子の声に、私達もみんなの視線と同じ方向を見た。
離れてはいるが、フロアの隅に人事部長室へと入っていくのは、まぎれもなく晃さんだった。
「町屋先輩、あの神崎さんって何をしている人ですか?」
私はまだ晃さんをジッと見たまま、尋ねた。
「嫌だ、笠井さん知らないの?」
「笠井、お前会社のいい男話、いつも聞いてないのか?」
牧野さんまで、嘘だろ?といった顔をして二人で私の顔を見るので、私は少し恥ずかしくなり視線を逸らした。
確かに食事の場などで、女子社員が会社の男の人のうわさ話をしているのは知っていた。
でも、私にはそんな人たちは無縁の世界の人だと思っていたし、どうでもいいと言うのが本音だった。
「あの神崎晃さんは、社長や副社長の側近と言われる人で、会社では顧問弁護士のポジションね」
「え?弁護士?あの人が?」
あのチャラくて軽い晃さんが、弁護士なんて……。
この会社大丈夫?
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