15人が本棚に入れています
本棚に追加
「藤代っ!お前はほんっとに頭が弱ぇな。俺は部外者者じゃなくて誰よりも当事者だって何回言ったらわかんだよ?」
恒例行事のように耕作さんが藤代さんに噛み付いた。
「あ゛!?俺が言ってんのは本来この部屋はここのスタッフ以外は入れねぇってことだ!そういう意味ではお前は間違いなく部外者なんだよっ!!」
「えっらそうに何ぬかしてやがる!俺を怒らせるとどうなるかわかってんのか!?ダークマターやダークエネルギーの秘密を全部ぶちまけるぞっ!!」
藤代さんの顔色がサーッと青ざめた。
「ま、待て!それだけは言うな!その謎は俺が自分で突き止めるんだっ!」
繰り広げられる2人の攻防をよそに僕は無言のまま自分の席の後ろの壁に向き合った。
コンコン、コンコン・・・。
少しずつ場所をずらしつつ壁から聞こえる音を確かめながらひたすら右手でノックをするように叩く。
次に四つん這いになって耕作さんが立っていた辺りの床をペシペシした。
いつの間にか耕作さんと藤代さんも口論をやめて、他のみんなと一緒に僕の不審な行動を凝視していた。
「お前、さっきから何やってんだ?」
耕作さんが薄気味悪そうに尋ねた。
「仕掛けを探しているんです。」
「仕掛けだぁ?」
「そう、仕掛けです。床に通路があるとか、忍者屋敷みたいに壁にどんでん返しがあったり、とにかく何か仕掛けがあるに決まってるんですから。」
床には何もないようだ。じゃあ、やっばり壁か。
再び立ち上がり、取り憑かれたように壁の至る所をノックしてみたが同じ音が響くだけでおかしな箇所は見つからない。
耕作さんはフンと鼻を鳴らして呆れたように言った。
「せっかく俺様が目の前で実演してやったのにまだわかんねぇなんてお前はバカか?あれは正真正銘、お前達が言うテレポーテーションってヤツだっての。」
テレポーテーション・・・???
まさか、そんな。
マンガや小説ならともかく、現実世界でそんなことありえない・・・。
僕の脳内が???マークでいっぱいになり思考回路が完全に止まった。
最初のコメントを投稿しよう!