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「ではミーティングを再開したいと思いますが・・・。」
気を取り直して、という風に結城さんは僕を真っ直ぐに見つめて尋ねた。
「“宇宙や天体が好きな人。同じくらい地球が好きな人”。椎名くんはこの言葉を覚えている?」
「もちろん覚えています。僕が見た募集要項に載っていた言葉です。」
「その通り。君は面接でこの言葉に強く惹かれたから応募したと言っていたね。」
「はい。」
「それを聞いた時、所長と僕は君に興味を持った。そして宇宙開発についての返答で君の採用はほぼ決定した。否定的な意見でも臆せず素直に語ってくれたのは君だけだったし、僕達の考え方にも通ずるものがあった。今だから白状するけど椎名くんのような人が来てくれて僕はとても嬉しくてね。その気持ちを顔に出さないようにするのに苦労したよ。」
あっ!
だからあの時、急に事務的になったのか・・・。
結城さんは微苦笑を浮かべて、更に話を続けた。
「この3ヵ月、僕達は椎名くんの人柄や働きぶりを見て君が信頼できる人物であると確信した。だから君が正職員になる今日からこの天文台の全てを共有してもらおうと思う。この件はここにいるメンバーしか知らない機密事項だが、君は決して外部へ漏らしたりしないと信じている。詳細は当事者である彼から説明してもらうけど、彼は耕作よりきちんとしてるから安心して最後まで話を聞いてやってくれ。」
彼?
彼って・・・誰??
何が何だかわからない僕は目をパチクリした。
そんな僕の前に“彼”は突然現れた。
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