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中学で同じクラスだった友達が“デグー”と言う茶色い生き物を飼っていた。
その生き物はモルモットによく似ており、ネズミの仲間ではないがパッと見はやはりネズミとしか思えなかった。
〈デグーはデグー科に属する齧歯類で原産はチリの山岳地帯。
体長は尻尾を除くとおよそ12㎝~20㎝、毛色は殆どがアグーチ色。
このサイズの齧歯類・哺乳類としては知能が高く、ヨーロッパなどではペットとして人気があり人にもよく懐く・・・。〉
以上はウィキペディアからの引用であるが。
そのデグーそっくりな生物が僕の机の上にいる。
さっきの耕作さんのようにいきなり目の前に現れたのだ。
ウィキペディアの説明との違いと言えば尻尾が無いことと体長が1メートルほどあること、そしてグレーに黒い線の入った軍服を着ていること。
結城さん曰く“彼”は直立して僕をじっと見下ろしている。
小さめの丸い耳やつぶらな黒い瞳はとても可愛いが
傍目から見るとかなりシュールな光景であることは間違いない。
「それでは私から説明をさせてもらう。君の脳に直接テレパシーで詳細を送ることもできるが、ここは地球流に言語を使用して語ることとしよう。」
彼は流暢な日本語で話し始めた。
「まずは自己紹介だ。私の名前はジャン・フォトステフ・クリオスト・コルトース・ミトラント・モデラー・ゾ・カトーレだ。ジャンと呼んでくれればいい。」
それなら“ジャン”の部分だけでよさそうなものだが、結城さんの言う通りたぶん彼は初対面の相手にはどんなに長くてもきちんとフルネームを名乗る実直な性格の持ち主なんだろう。
僕は努めて冷静にその名前を繰り返した。
「ジャンさん、ですね。僕は椎名 航平です。よろしくお願いします。」
「ご丁寧にありがとう。こちらこそよろしくお願いする。」
ペコリと頭を下げる仕草からも礼儀正しさが伝わってきた。
「さて、私の故郷は地球からおよそ44000光年の位置にある“エリシア”という惑星だ。方向は銀河系の中心の向こう側、大きさは地球の3分の2ほどだ。」
「そうですか。それで、その・・・地球に来た目的はやはり侵略とか征服とか、そんな感じなんですかね?」
僕が恐る恐る聞くとジャンさんはあからさまにガックリと肩を落とした。
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