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「地球人は異星人と聞くとすぐそれだ。一体、何億年前の話をしているんだ?今頃そんな時代遅れな発想をするのは君達くらいなものだぞ。」
「そうなんですか?」
「そうだとも。椎名くん、君はこの宇宙空間に生命体が存在する惑星がどれくらいあると思う?」
「えーと、どれくらいかな?これだけ広いんだから1万個とか?」
「残念ながらその10分の1のおよそ1200だ。もちろん我々も全てを把握しているわけではないが現段階では最も信憑性のある数字で、そのうちの半分はようやく微生物程度の生命体が生まれたばかり惑星だ。」
「すごい、本当に生命体がいるんですねっ!あとの半分はどうなんですか?」
僕は自然と身を乗り出していた。
初めのうちはジャンさんの存在さえにわかに信じられなかったのだが、元々宇宙に興味があり研究者になっただけに気づけばどんどん話に引き込まれていたのだ。
「これは非常に大雑把な分類だが半分の600のうち300は多種多様な動物や植物が進化しつつある発展途上の惑星だ。あとの120は高等動物が生まれ、初歩的な文明が築かれている。残りの100は多少レベルは違えど地球程度にまで科学力が進歩している。そして残りの80が我々のように容易く星間移動ができる技術力を持っている。」
「文明を持つ生命体となると更にひと握りなんですね。」
「生命自体が奇跡の産物だからな。その上、文明を持つなど神の領域だ。」
ジャンさんは呟くように言った。
その口から“神”と言う言葉が出たのを意外に思いながら引き続き彼の話に耳を傾けた。
「君はさっき侵略や征服と言っていたが、我々の目的はその真逆だ。我が母星・エリシアを含む高度な技術力を持つ80の星々は同盟を結び、力を合わせて宇宙空間の治安維持に努めている。ただし必要以上に積極的に関わることはなく大部分が主に見守り活動のみだ。生命体はそれぞれの惑星の適切な環境の元で進化をする。そこにむやみに手を出すことはかえってバランスを崩すことになり兼ねないからな。」
「それじゃ、地球にも見守り活動で来ているんですか?」
「その通りだ。だいたい2000名の仲間が地球上に派遣されている。これは他の惑星の10倍だ。」
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