15人が本棚に入れています
本棚に追加
/137ページ
風見さんは耕作さんの存在自体を無視して階段の方へ歩き出した。
「理世ちゃん、待って!俺も行く・・・。」
耕作さんは風見さんを追いかけようとした。
「・・・結構ですっ!」
風見さんは振り向きざまに耕作さんを睨みつけ、そのままではほんの数秒で命を!落としてしまいそうな凄まじい殺気を漲らせた。
未だかつてこんなに激しく拒絶されている人(宇宙人だけど)を僕は見たことがない。
さすがの耕作さんも金縛りにあったかのように立ちすくみ、その隙に風見さんは2度とこちらを見ることなく階段を上がっていった。
「・・・理世ちゃんたら今日も照れちゃって。ほんとカワイイなぁ。」
金縛りからようやく解き放たれた耕作さんは負け惜しみを言った。
僕は画用紙で作った星形やロケット形の飾りをボードの周りにテープで貼りながら聞いた。
「どうしたら風見さんが照れてるように見えるんですか?」
チッチッチ。
耕作さんは人差し指を立てて左右に振りつつ舌を鳴らした。
「お前みたいな青二才にゃわかんないだろうけど、女心はひと筋縄じゃいかねぇんだよ。よく言うだろ?“キライキライもスキのうち”って。」
「でも風見さんの場合は“キライキライ、ホントに大キライ”にしか見えませんけど?」
「・・・椎名ぁ。お前、俺様に随分な口きくじゃねぇか。」
耕作さんは眉間にシワを寄せて僕をガン見した。
すると足元に置いてあったたくさんの星形の切り抜きが宙に舞い上がり僕の顔めがけて飛んできた。
画用紙でできてるから痛くはないがペシペシぶつかってくるから目が開けられないし鬱陶しい。
「俺様に楯突くヤツには流星群の刑だっ!どうだ、参ったか!?」
「もぉ~、つまんないことするのやめて下さいよ。」
僕は腕で顔を保護しながらボヤいた。
最初のコメントを投稿しよう!