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こうして新しい住民『口裂け女』が桜ハイツに加わる――だが。
その空気をぶち壊すかのように、メリーさんのスマートフォンが鳴った。
何とか死に物狂いでその場から脱出したメリーさんはスマートフォンのロックを解除し、その通知を見た。
「あ、くねくねからだ」
その一言――たった一言で、口裂けの様子が一変した。
「……くねくね、いつから来るって?」
「『三週間後の水曜日にはそちらに到着します』だって」
「タイミング悪すぎるわ、くねくねぇ……」
空気の読めないくねくねに対し。
大家は同情が半分と、呆れが半分ずつその身体の中に渦巻いていた。
後者は言うまでもないことだが、前者に関しては。
くねくねが、まさかここに因縁の相手『口裂け女』が入居しているとは知らない。
あと三週間後にはくねくねは物理的に死んでしまいそうだ。
「――ま、いっか。別にアタシの問題じゃないし」
しかし非情な大家は。
あっさりとくねくねを見捨てることにした。
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