プロローグ

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 コックリさん――悩みを相談してくれる心優しい相手かもしれないが。  その実態は悪霊が降りてくる術だ。  悪霊が人間に復讐しようとして、その女子学生を襲った……と言う話はあまりにも有名だろう。  でもこれは根拠のない、ただの作り話だったことが分かった。  だが安心してはいけない。  この話が作り話でも、実際に事件は起きているのだから。  事件が起きたからこそ、日本各地にある学校はそれを全面的に禁止した。  そうして『コックリさん』と言う一大ブームは一時的な幕を下ろした。  しかし忘れないでいただきたい。  既にお話したように、コックリさんの広まり方は異常なまでの速さだったと言うことを。  日本全国、四十七都道府県の面積を考えれば。  例え主婦の井戸端会議などで広まることはまず考えられない。  ではここである仮説を立ててみよう。  そのコックリさんを広めたのは『コックリさん自身』だったと言う仮説を。  コックリさんを広めたのは『コックリさん』と言う実体のない影。  じゃあ何故そんなことをしたのか?  それは――フィクション物の物語ではおなじみの、『知名度が高ければその分力も強まる』と言う設定を付け加えてみよう。  するとどうだろうか。ものの見事に方程式が完成してしまうではないか。  そう――都市伝説を広めたのは『都市伝説自身』と言う存在だったかもしれないのだ。
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