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「……そんなこと、わかっていて乗ってあげたのよ…」
言うと、彼は手を伸ばし私の髪を慣れた手つきでスッと撫でて、
「……そういうことに、しといてあげますよ」
と、うっすらと笑った。
犬みたいにもおとなしく感じてた彼が、実は猫みたいにも艶っぽい男だったなんて……。
「……今夜のことは、秘密です」
耳元でふっと囁いて、
「……また明日からは、従順な部下に戻りますから」
私の唇に人差し指をあてた。
「……僕が、従順でなくなるのは、あなたの身体の上だけですから」
そんな言葉をさらりと軽く吐いて、口づけるのに、
攻めぎ合いで囚われたのは私で、その手の中に落ちて、彼に嵌ってしまったことを感じた……。
終わり
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