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先に歩き出す私を、後ろから「すいません! これからは気をつけます!」と、小走りで追ってくる。
「謝罪はいいから、覚えておけばいいのよ。わかった?」
「はい…」
なんだか声がトーンダウンしたようにも感じて、ふと足を止める。
「……仁藤君?」
うなだれて歩いていた彼が、止まっていた私に気づかずにトンと背中にぶつかってくる。
「…あ、先輩…」
と、顔を上げるのに、
「もう、それぐらいで落ち込まないで。感情のコントロールぐらいしっかり自己管理しないと」
ついまた、説教でもするような言い方になる。
「……先輩、わかりました。すぐに切り替えますから」
笑顔で言うのに背中を向けて、「そうよ、ほら早く行くわよ!」と、その表情につい赤くなりそうにもなったのを振り払い、足を早めた。
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