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プロローグ
風のない夜。空は雲に覆われ、海上は真っ暗だった。
若い船乗りのドードは、望遠鏡を片手にインバース号の船尾で見張りをしていた。その隣に、恰幅のいいギムリが立ち並んだ。腕組みしながら暗い波間を眺め、持ち前の野太い声で尋ねる。
「間違いねぇか」
「はい、頭。ブラックオルカが、後ろにぴったりと付いてきてますぜ。この距離じゃ逃げきれないっすね」
「ふん、真っ暗な中でこんな小さな帆船を見つけ出すなんて、さすがバルモア国の軍艦だな」
「感心していていいんすか。あれを、やるんでしょ」
「ああ、そうだな。皆を起こして準備しろ。オレには他にやることがある」
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