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しばらく、ギムリは腕組みをしてビンスを睨んだ。
いつの間にか、強い風が吹いてきていることに気付いた。
海の恵みが、ロートランドの方へ向けて流してくれている風。
虚空を見ながら、にやりと笑む。
「仕方ない、時には妥協も必要だろう。さあ、来てみろ、ビンス。オレたち海賊インバースは、奪うことはあっても、何も奪わせやしないぜ!」
ビンスが兵士らと共に渡し板を通り、インバース号に踏み込んだ時――
ギムリはランプの火を木箱の中へ投げ込んだ。
その爆発音は、海上の静寂を破った。
遠くの海にまで響き、ラルクの入った樽にも届いた。
揺れの激しい、暗く、狭い樽の中で。
ラルクはぎゅっと目を瞑り、親父と仲間の無事を祈った。
大丈夫、親父は強いんだ、きっと無事だ。無事だよね……どうか、無事でいて……。
目から涙が零れていた。
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