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出会い
アンカー諸島は南に位置し、小さな島が幾つも集まって成り立っている。マスターピース号は、その内の一番大きな島に近づいていた。
レリサの指示で桟橋のある湾を迂回し、島の裏に回った。島の裏側は隆起した岩が点在し、波も高い。ようやくといった体で、陸に続く洞窟入口に接岸した。
岩に打ち込まれた杭にもやい綱を括り付けて船を固定すると、ゲイルは額の汗を拭いながら息をついた。
「こんな暗礁だらけの場所、隠れるためにあるようなもんだな」
満ち潮には隠れてしまいそうな低い岩場まで、よく見渡せる。そこら中をはい回るフナムシを避けながら歩くラルクが、海面を覗いて大きな声を上げた。
「うわあ、見たことのない魚がいる! 黄色いのとか、青いの!」
「いい所でしょう? きっとすぐに気に入るはずよ」
身を隠す必要のなさが、レリサの声を弾ませていた。それを足元から見上げるミントまで、機嫌のよい顔つきでいる。
「隠れ家はすぐそこだから、先に部屋に案内しようか」
レリサは先頭に立ち、おうとつ路を軽い足取りで進む。洞窟の中へと入ると、焼けるような日差しから解放され、ひんやりとした空気に包まれた。
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