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初めて関係を持ってからも週に二度ほど体を重ねてきたが、鍋島は智也と関係を持ちながらも女関係が絶えなかった。
鍋島は中学、高校と柔道部に所属していたせいか体つきもしっかりしていた。それに見合った少したれ目の甘いマスクは、女子大生たちには輝いていたに違いない。
サークルの先輩から、新入生、酷い時には外部の非常勤の講師なども鍋島と関係を持っていた。これらは全て智也が把握している範囲での事なので、実際にはどこまで手を出していたかは分からない。
鍋島は智也と関係を持つことは浮気とは思っていない様で、女には特定の相手はいないと答えるらしい。だが女も馬鹿ではない。
鍋島の裏に古くからある影を感じ取り、それを詰め寄ると面倒になった鍋島に別れを切り出されるの繰り返しだった。
自分と関係を持ちながら十人目の女と別れた話を聞いた時には、智也はその女に同情すらしたのだった。
『残念、また俺の勝ちだね』
そうやって面と向かって鍋島の彼女に言ってみたかったが、この関係が壊れるのを恐れた智也は今日も鍋島の別れ話を聞いてやるのだった。
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