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あの後どれくらい鍋島と体を繋げていたか定かではないが、智也の最後の記憶は風呂場だった。
それが二階の鍋島の部屋にいるという事は、風呂場から彼が運んだに違いない。
軽くはない男の体重を抱えながら苦も無く二階へ上がることができる鍋島の体力にうっすらと寒気すらした。
柔道をやっていたせいなのか、そもそもの体力や筋力が違うのか鍋島は簡単に智也を抱える。
そばにあった携帯電話で時間を確認すれば、朝の5時を示している。
部屋を見回しても鍋島が居ないことを不思議に思いながら、慣れ親しんだ人の家を我が物顔で歩く。
二階の他の部屋にも、トイレにもいないところを見るとリビングもしくは風呂にいるのかもしれない。
そう判断した智也は気だるさが残る体でゆっくりと一階に下りた。
リビングのドアは僅かに開いており、そこから中のエアコンで冷やされた空気が流れだしていた。
鍋島の部屋にはエアコンが無いので夜中に暑くなった鍋島がリビングに下りて寝なおしたのだろうと予想した智也はリビングの光景を見て自らの予想が外れていることを知った。
昨日帰ってきて一番に鍋島と体をつなげたそのソファの上に鍋島はいた。
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