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タオルケットだけを身にまとい、そこから出ている太ももや腹を見れば恐らく裸で寝ているのだろう。
鍋島が裸で寝るのはそこまで珍しくないのでそこまで驚きはしなかったが、問題は彼の腕の中で同様に裸で眠る人間がいたことだ。
「は?」
狭いソファの上から落ちないように鍋島に体を寄せて眠っている人間はどう見ても智也と同じ男だった。
すらりと伸びる手足は智也より細い。大柄な鍋島と比べると半分くらいの細さかもしれない。
もう少し隠れている面積が多ければ、少し長めの髪も相まって女と間違えたかもしれないが、曝け出されている胸元に膨らみはなく鍋島の体に回された手のひらはごつごつとしていて女性特有の丸みは感じられなかった。
「……男だよな?」
鍋島と彼女の事後に遭遇することは初めてではなかったが、男の事後に遭遇するのは初めてだった。
いや智也以外の男と関係を持っていることを匂わせられたのがこれが初めてだった。
男は自分一人だと鍋島の彼女たちにどこか小さな優越感を感じながら抱かれていたというのに、鍋島はどうやら自分以外にも男と関係を持っていたらしい。
女たちは大勢いても自分だけは違うと信じていた小さな智也のプライドはこの裸で眠る見知らぬ男にぽっきりとおられてしまった。
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