金井翔太

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隣に座る高橋匠とは、すぐに話せるようになった。休み時間、声を潜めて匠が言った。 「菊池は霊が見えるとか言い出しそうだよな」 ちょっと笑える。俺は後ろから呪ってきたらどうしようかと思っていた、と言ったら匠が大笑いをして言った。 「確かに! 俺たち考えてること、近いな」 それから女子の話しで盛り上がった。女子の話をしていると、翔太の前に座る遠藤正とその隣に座る鈴木信之がいつのまにか合流していた。こいつらとは普通に波長があう。 遠藤は下の名前がこいつの柄に合わない正だったから呼び名はエンちゃんになった。鈴木は信之だからノブでもよかったんだけど、硬そうな性格そうに見えたから苗字から取ってスッチーになった。高橋は普通に発音しやすい匠に落ち着き、俺は苗字が金井で発音しづらいとエンちゃんが言ったから、匠と同じように翔太で落ち着いた。 「綾香って、可愛くない? いいよね」 匠はお気に入りの女子である綾香って子と同じクラスになったと大喜びだ。事あるごとに綾香って子の話しをする。匠が綾香、綾香とうるさく言うもんだから、綾香って子を少し気にするようになってしまった。 匠が話す綾香って子は山口綾香って名前で、俺は今回のクラス替えで同じクラスになって初めて知ったが、匠は1年生の頃から知っているらしい。 綾香はバスケ部に所属していて、可愛い顔の子。いつも朗らかで、よく笑っている。周りの人にも気を使える子で、先生からも頼りにされている。見た目もそうだけど、彼女が持っている雰囲気というか、仕草や行動がマンガのヒロインを連想させる。この子を狙っている奴は多そう。匠は友達以上の関係を目指しているようだけど、希望が叶うまでもう少し時間が掛かりそう。あの子はガードが固そうだから。
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